関係者全員


吉岡 瞳(劇団ARK)/長谷川綺香(劇団ひまわり)


本番はみんないい顔


「乱」を上演するに当たって一番の目玉となったのが、殺陣とダンスだったことは言うまでもありません。
同時に、全登場人物の中で一番のキーとなったのは「吉法師」です。

「吉法師」だけが実在の人物であり、この物語に於いて要となっています。

吉法師は織田信長の幼名です。つまり彼が12歳で元服して信長と名乗るまでの名前です。
この物語では吉法師は女として生をうけたのですが
女子が生まれたとあっては、世継ぎの問題でたちどころに殺されていたため、
彼女は男として教育を受け、男として育てられていたという設定になっています。
(いわゆるリボンの騎士です)

そのため、どんな子でもこの役をやれるのかというとそうでもなく、
ちゃんとした演技が求められ、殺陣もやれるという子役が必要でした。

劇団ひまわり在籍の長谷川綺香という女の子とめぐり合ったのは2001年の初めでした。
別のオーディションでやってきたのですが、彼女の持っている雰囲気がとてもGoodでした。
そこで「乱」の吉法師役をやってもらうことになったのです。

問題は殺陣でした。
やはり女の子なのでチャンバラはやったことがないようです。
2001年の暑い夏の間、劇団ひまわりのスタジオをお借りして、
およそ3ヶ月にわたって週1回、彼女と木刀を持っての殺陣稽古になりました。
抜刀や納刀の仕方から始まり、構えかたや基本的な立ち回りの仕方にいたるまで。
特に最後のシーンでは武将からもらう刀を抜刀して素振りをするというシーンがあるため
抜刀から血振るい、納刀までの猛稽古でした。

これはスチール撮影時の彼女の勇姿。
やっぱりすてきな役者顔をしています。
男前です。(と言うと、彼女は嫌がってましたが…)

本番では刀が折れるというアクシデントがありながらも、とまどうことなく本番をやり通しました。

彼女の目には何とも言えない<力>があるので「吉法師」という役はぴったりでした。
内面は結構シャイで、笑顔のかわいい女の子です。
今後の彼女の活躍に期待しています